■手術後の経過
中絶後の数日間~10日間程度は、少量の出血や痛み(月経が終わりかけのときのような痛み)がみられます。(個人差はあります)
感染症を防ぐため、病院からもらった薬をかならず飲み、ナプキンをこまめに取り替えましょう。
出血があるときの入浴はシャワーだけにし、外陰部を清潔に保ってください。ホルモンバランスがくずれ、めまいや頭痛などを起こすこともあります。
からだの回復を第一に考え、数日間は仕事や学校を休んで安静にしましょう。
術後の経過確認のため、1週間後くらいに同じ病院で診察を受けてください。
セックスやアルコールは、少なくとも出血が止まるまでは控えたほうが安全です。
個人差はありますが一般的に経過が順調ならば、術後4週~8週程度で次の月経がきます。
処方された薬を確実に服用し、術後の診察で、問題がなければ通常の生活を送れます。
■手術後の心の影響
中絶は胎児=命を奪うという認識によってその後の罪悪感に苦しむケースが少なくありません。
中絶が原因とみられる後遺症は中絶後遺症候群(PAS)と呼ばれます。
中絶によって負った傷が何年も心、良心を苛むものです。
■ PASの症状
過剰反応、侵害行為、抑圧とされています。
≪フラッシュバック≫
中絶した時のことを繰り返し思い出したり、中絶時の手術の様子を再経験するフラッシュバック体験などがあります。
中絶した日、子供が出産できていたらという予定日などが近付くと情緒が不安定になります。あるいは、鬱を患ったりする方もいます。
≪信頼関係の崩壊≫
パートナーとの関係に関する中絶後の関係の変化は重要です。
出来たら子供は産もう、結婚しようと言っていたのに妊娠した途端に中絶をさせようとするような話は実によく耳にします。愛する人の態度の落差、そして裏切りには大きな傷が残ります。
人間不信もここで背負ってしまう可能性があり、この場合はセックスそのものに対して臆病になったり、不感症になったりする可能性もあります。セックスレス、不感症の原因にはこのようなパートナーの裏切りという要因があるケースも存在します。
≪PASのケア≫
自分の娘がこういう体験をすると思うと、今、母親である人たちはどう思われますでしょうか。こんな過酷な体験、我が子にはしてほしくはないものですよね。
まず、中絶という事態に至らぬように、普段からしっかりした性に対する意識をもたせることは必要です。
学校まかせはいけません。もし、不幸にも性的暴力などの被害に遭った場合、ケアは非常に長期にわたることになるかもしれません。
是非とも、カウンセリングをちゃんとうけさせてあげて、将来、トラウマに負けることがないように支えてあげましょう。
中絶の後遺症で悩む女性は、中絶に関わった人との距離をおくことがとりあえずの避難になります。
思い出させることをすべて周囲からはらってしまえば少し気が楽にはなるでしょう。
セルフケアとして提唱されていますが、同じ体験をして苦しんでいる人たちが集まる場所で、気持ちの吐露、そして共有、それが大きな癒しになる場合があります。
ネットなどでもサイトが存在していますので、是非、利用してみてください。