今回は、男性と女性の「性」についてお話しします。
1.人間の脳にも性別がある
脳は、記憶や感情、行動など、様々なコントロールを行う場所としての機能がありますが、「性別」があることが最近の研究で分かってきました。
生物学的な見た目の性別だけでなく、脳にも男性女性などのタイプが存在するのです。
◎脳のタイプはどうやって決まる?
脳にも男性型、女性型のように性別があるとお伝えしましたが、ホルモンと深い関係があります。
性ホルモンには、下記のような種類があります。
• 女性ホルモン:プロゲステロン、エストロゲン
• 男性ホルモン:テストステロン
2.体は男性なのに脳は女性として認識するのはなぜ?
脳のタイプはテストステロンによって影響されることをお伝えしましたが、中には、生物学的に男性であり精巣もありテストステロンが分泌されているが女性として自覚している人もいます。
3.体と脳の性別の乖離が性同一性障害(GID)
脳の性別に関しては、あくまで自分の認識によるものであり、他人が気づくことはできません。
理由までは分かっていませんが、女性だけど男性になりたい、男性だけど女性になりたいと思うケースが見られます。
◎体と脳の性別の乖離(かいり)が起こる時期
脳と体の性の乖離が起こる原因としては、身体の分化の時期が大きく関係しています。
• 生殖器は妊娠の早い段階で変化が起こる
• 脳の性分化は妊娠の半ば過ぎくらいから起こる
生殖器の性分化は、脳の性分化に必ずしも影響するとは限らないため、乖離が起こるのです。
◎性同一性障害(GID)が起こる原因
性同一性障害(GID)が起こる原因の一つとして、男性ホルモンの作用が挙げられます。
脳の性が決まる妊娠半ば過ぎの時期に男児が胎内でテストステロンを産生できなかったか、作用できない状態であることが性同一性障害(GID)の原因の可能性であることが分かります。
逆に女性の性同一性障害(GID)の場合は、男性ホルモンが多少なりとも作用した可能性が高いことが考えられます。
しかし、脳が男性型、女性型になるかは、胎児期のホルモンの作用のみでは説明できず、生後の幼児期の環境や関わりなども大きいと言われています。
4.性同一性障害(GID)とレズビアン、ゲイは違う?
性同一性障害(GID)は、生物学的な性別と脳の性別が乖離している状態のことを指します。
誤解されやすいものとしてレズビアンやゲイ、バイセクシャルなどがあります。
それぞれの違いについて、見ていきましょう。
◎レズビアンは性の対象が女性
レズビアンは、生物学的にも社会学的にも女性であり、自分自身のことも女性として認識しています。
ただし、恋愛や性の対象は女性であることが特徴です。
◎ゲイは性の対象が男性
ゲイは、生物学的にも社会学的にも男性であり、自分のことも男性として認識しています。
ただし、恋愛や性の対象はレズビアンと同様に男性であることが特徴。
◎バイセクシャルは性の対象が両方
バイセクシャルは、生物学的や社会学的な性別関係なく、恋愛や性の対象が男女の両方であることが特徴です。
5.LGBTとは?
最近では性の多様性について表現する際に、「LGBT」という表現が使われることが多いです。
「LGBT」は、それぞれの単語の頭文字を取ったものになります。
• L:Lesbian(レズビアン)
• G:Gay(ゲイ)
• B:Bisexual(バイセクシャル)
• T:Transgender(トランスジェンダー)
4割以上の国では、LGBTの権利などが認められておらず、不利な状況に置かれているのが現状です。
彼らに対するサービスや配慮、権利向上などを目指した運動などが、欧米を中心に高まっています。
◎LGBTのような多様性を認めることも必要
最近では、医学的にホルモンが脳の性差に影響することなどが分かっています。
性別は男性、女性などのように2つに分けるのではなく、性の多様性を認めることも必要な考え方であると思います。