避妊用のピルの種類は実にさまざま。いざピルの服用を考えたとしても、その種類の多さを前に、どれを選べばよいか迷ってしまう人もいるでしょう。

自分に合ったピルを選ぶためには、まずはその違いについて理解を深めておくことが大切です。

今回は、ピルを選ぶ前に知っておきたい、ピルの種類やそれぞれの特徴について詳しくお伝えします。


■ホルモンの配合量によって異なるピルの種類

主に避妊目的で使われているピルの正式な名称は「低用量経口避妊薬」であり、「OC」あるいは「低用量ピル」と呼ばれることもあります。
避妊以外では、月経に関するトラブルの改善や子宮外妊娠の予防といった副効用(避妊以外の効果)目的でも処方されています。

ピルの使用は、1日1錠ずつ21日間連続で服用した後、7日間の休薬期間を設けるというのが基本です。

ピルを選ぶうえで、まずひとつの目安となるのが、ホルモンの配合量の違いです。


ピルは、配合されているホルモン量によって、「一相性ピル」と「段階型ピル」に大きく分けられます。

一相性ピルはホルモン比率が21錠すべて同じなので、実薬であればどれを服用しても問題ありません。つまり、服用方法は比較的簡単だといえるでしょう。

一方の段階型ピルでは、何段階かに分けてピルに含まれるホルモンの配合量が変わります。ですので、一相性ピルのようにどれを服用してもOKとはいきません。ただし、段階型ピルでは総ホルモン量が抑えられるため、不正出血が起こりにくくなるというメリットがあります。

飲み忘れが心配なら一相性のものを、ホルモン量を抑えたいなら段階型ピルをというように、それぞれの特徴を理解したうえで自分に合うものを選ぶとよいでしょう。


■飲み忘れが心配なら、28錠タイプがおすすめ

飲み忘れることなく毎日正しく服用すれば、かなり高い避妊効果を得ることができるピル。逆にいえば、飲み忘れてしまうと、避妊効果の持続が難しくなってしまいます。


ピルには、「21錠タイプ」と、プラセボ(偽薬)がついた「28錠タイプ」があります。

ピルの飲み忘れを防ぐ一番の方法は、歯磨きや洗顔のように当たり前の習慣にしてしまうこと。

21錠タイプだと、次の服用開始を忘れてしまいそうだという人は、7日間の休薬期間も同じように服用を続ける28錠タイプを選んだほうが、飲み忘れ防止につながるでしょう。
同じ種類で2タイプが用意されているものもありますので、28錠タイプの服用に慣れた頃に、21錠タイプに切り替えるというのもひとつの方法です。

ちなみに、プラセボの成分には、ブドウ糖や乳糖など身体にほとんど影響のないものが使用されています。


■「day1スタートピル」と「Sundayスタートピル」

上記以外の方法では、いつからピルの服用を開始するかで選ぶ方法もあります。

基本的に、ピルは月経初日(月経が開始して24時間以内もしくは、月経が始まって3日間以内)から服用を開始します。

こうしたピルを「day1スタートピル」といいますが、このほか月経が始まった最初の日曜日から服用を開始するピルもあり、「Sundayスタートピル」と呼ばれています。

ピルを服用している間は、通常の月経ではなく、月経に似た「消退出血」という現象が起こります。
Sundayスタートピルを用いると、消退出血が週末に重なりにくくなり、週末の予定を組みやすくなるというメリットがあります。ただし、服用を開始して1週間は、必ずほかの避妊法を併用してください。



★病院に相談したうえで自分に合ったピル選びを。

ピルの服用により、今まで男性任せだった避妊を、女性主導で行うことが可能になります。
ただし、ピルには副作用や経済的負担などがあるのも事実。

ピルの服用を考えたときには、まずは病院に相談してきちんと説明を受け、納得したうえで自分に合ったピルを選ぶことが大切です。