保険がきかない中絶手術。金銭面での不安を抱える人も少なくありません。

なかには、出産育児一時金(一時金)の支給対象となるケースもありますが、それはどんな場合なのでしょうか。

今回は、中絶手術の一時金について詳しくご紹介します。

■中期中絶手術の費用は

中絶手術の費用は、妊娠週数によって異なります。

中絶には2種類あり、妊娠11週6日までの場合は初期中絶に、妊娠12週以降、もしくは胎児の体重が500グラム以上の場合は中期中絶になるのが一般的です。

ちなみに、中絶とは、胎児が母体の外で生きられない段階で流産させることを指すため、母体外での生存が可能な妊娠22週以降に中絶手術を行うことは、法律で禁止されています。

初期中絶手術は、胎児や胎盤などの組織をスプーンのような器具で掻き出す「掻爬法(そうはほう)」、もしくは掃除機のようなもので吸い出す「吸引法」のどちらかで行われます。

手術時間は20~30分ほどで、問題がなければ日帰りが可能です。費用は病院によって異なりますが、10〜20万円程度を目安にするとよいでしょう。

一方の中期中絶では、胎児がすでに大きくなっているため、人工的に陣痛を起こして分娩するかたちで手術します。

そのため、手術の2日ほど前から子宮口を広げる処置を行い、術後は1~3日程度の入院が必要になります。

費用は30~50万円くらいになり、妊娠の週数が進むにつれて手術費は高くなります。

中絶手術は保険適用外となるため、心身の負担だけでなく、金銭面での負担も加わります。

■一時金支給対象

妊娠12週を過ぎて行われる中期中絶では、一時金が支給されることがあります。

一時金の支給額は、産科医療補償制度に加入している病院であれば42万円、加入していない病院であれば40.4万円です(平成27年1月以降)。

これは胎児1人あたりの金額であり、双胎妊娠の場合は2人分が支給されます。

また、一時金が支払われる場合「直接支払制度」を利用することも可能です。

これは、一時金の請求と受け取りを本人に代わって医療機関が行うものです。

一時金が医療機関に直接支払われるため、退院時にまとまったお金を用意する必要がなくなります。

病院によっては「受取代理制度」を実施しているところもあります。

ただし、すべての病院がこれらの制度を取り入れているわけではなく、申請にも時間がかかってしまうため、中絶の場合は制度を利用せずに、自分で支払った後で給付を受けることが多いようです。

■出産手当金

出産育児一時金に加えて、「出産手当金」という制度もあります。

仕事をしている女性が出産する場合、どうしても休職しなくてはならない期間が出てきますが、その期間の生活を保障し、安心して休養をとれるように健康保険から手当金が支給されるのです。

この出産手当金の制度は、出産育児一時金と同様に、妊娠12週以降の中絶手術においても支給対象となります。