Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

今回は、「 ネット医学」の真実について、ネルソン先生が詳しく解説します。

使ってはいけない「5つの言葉」

インターネットで、医学について検索した際、必ず次の「5つの言葉」が出てきます。この「5つの言葉」は、医療に従事する方は、安易に使用しないでほしいと僕は思います。

①ホルモンのバランスが悪い

②自律神経が乱れている

③ストレスがたまっている

④体が冷えている

⑤更年期

この「5つの言葉」を使えば、どんな症状でも病気でも、全部説明できてしまいます。例えば、頭痛は自律神経が乱れている。腹痛はストレスがたまっている。など簡単に解決することができます。しかし、その奥に脳出血や脳梗塞、胃がんなど大きな病気が隠れていることがあるのです。

この「5つの言葉」を容易に用いると、人を「死」に追いやってしまうこともあるんです。

ホルモンといっても、人の体には30種類以上のホルモンがあります。自律神経といっても、いろんな部位の神経があります。その細かい診断を専門家は必ずしなければいけないと思います。

実際の症例

16歳の女の子が、お母さんと一緒に「生理不順の悩み」で僕の病院に来られました。別の病院を受診をした際、ストレスが原因でホルモンのバランスが崩れているとの診断を受けました。実は、女の子は学校でいじめにあっており、それがストレスになっているのではないかとのことでした。完璧なストーリーですよね。ネットで調べても、同じ答えが出ると思います。

しかし、お母さんが診断に疑問を感じ、僕のYouTubeを見て病院を受診してくれました。そして、詳しく調べていくと、癌が見つかりました。「下垂体腫瘍」だったのです。下垂体というのは、目の奥にあります。

簡単に説明すると、脳である視床下部を「社長」とした時、下垂体は「専務」、卵巣は「課長」になります。「課長」である卵巣の調子が悪いと思っていたら、実は「専務」である下垂体に問題があったのです。下垂体は目の奥にあり、そこに腫瘍ができると視神経が圧迫されてしまいます。目からの情報は、視神経を通って脳に運ばれるので、視神経が圧迫された女の子は右目の半分が見えていない状態だったのです。まったく右目が見えなくなると異変に気が付きますが、右目の半分が見えないだけだったので、気づきにくかったのです。視野が狭くなってしまった女の子は、悪気なく人にぶつかったり、足を踏んでしまったりしていました。表情に出さずに行っていると、された方は腹が立ちますよね。そこから、いじめにつながっていったわけです。

つまり、いじめられたから生理不順になったわけでなく、病気になってしまったから、いじめられるようになったのです。

このような症例のように、いかに正しい知識をもつこと先入観をもたないことが大切です。ホルモンというのは大変深いので、医療に従事る方は、もう少し整理してほしいと思います。