Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

今回は、女性が気になる「ピル」の疑問について、ネルソン先生が詳しく解説します。

ピルとは?

今回は、ピルのメリット・デメリットについてお話したいと思います。一緒に勉強していきましょう!

まず、ピルというのは一粒の中に、「エストロゲン」「黄体ホルモン」という女性ホルモンが2種類入っています。このピルを毎日飲むことで、ホルモンが足りていると体が錯覚を起こします。体の中に、女性ホルモンが足りていると錯覚すると、卵巣の中にある「卵胞」がしばらく育たないようになります。すると、排卵も行いません。排卵が行われないと、妊娠をすることもありません。そして、排卵しないと生理痛が大きく軽減され、生理の量も減ります。これが、ピルの大きなメリットになります。

メリット

①避妊効果がある。

きちんと飲めば、99.7%の確率で避妊することができます。つまり、コンドーム以上に避妊効果があります。

②生理の辛さが軽減される。

③生理周期を安定させられる。

デメリット

①さまざまなマイナートラブル

むくみ

③血栓症

ピルには、メリットがたくさんありますが、デメリットも気になりますよね。実は、副作用も色々あります。例えば、頭痛や胸が張る、おりものに血が混じる、などさまざまな症状を引き起こす場合があります。でも、ほとんどの症状は1、2ヶ月で体が慣れてくることが多いです。

あと、よく聞かれるのは、ピルを飲むと太るのでは?という質問です。これも少し違います。ピルの中に入っている「エストロゲン」というホルモンは、体の中に水を溜めていきます。つまり、人によって、むくみやすくなる人がいるということです。水分が増えると体重も増えてしまうので、太ったと認識してしまうことになります。むくみに悩む人は、クリニックで相談してみてください。場合によっては、漢方などで水分を体の外に出すことも可能です。ピルの種類によっても、むくみにくい種類もあります。なので、一人で悩まず必ずお医者さんに相談してくださいね。

そして副作用で一番怖いのは、「血栓症」と呼ばれるものです。血栓は、血の塊です。血の塊がたくさんでき、血管を詰まらせてしまうと大変なことになります。肺や頭の血管を詰まらせてしまうと、死んでしまうこともあります。

ここまで話をすると、ピルが怖いものに思えますが、実はピルを飲まない場合でも、10,000人に5人程度は自然に血栓症が起きます。ピルを飲んだ場合は、10,000人に9人程度のリスクと言われています。確率がとても上がったように思いますが、実は妊娠をしたら10,000人に19人程度が血栓症になるリスクがあると言われているので、ピルを飲むよりも妊娠をした方が確立は上がります。さらに、出産一ヶ月前後は、10,000人に65人と確率はさらに上がります。

つまり、妊娠・出産ををした方がもっと血栓症のリスクは上がるんです。逆にいうと、ピルを飲んで避妊を行った方が、血栓症のリスクは下がるということです。

なので僕の希咲クリニックでは、①気になる症状があれば、すぐに相談。②症状がなくても、半年に一度血液検査で血栓症の兆候がないかチェック。この二つをお願いしています。万が一、血栓症の兆候があれば、すぐにピルを止めて、自分を守るように伝えています。

おわりに

ピルのメリット・デメリットについてお分かりいただけたでしょうか。ピルは適当に飲む薬ではありません。必要に怖がる薬でもありません。

大切なのは、正しい知識をもった上で、きちんと服用することです。そのためには、信頼できる医師のもとでアドバイスをもらいましょう。また次回、ピルの正しい飲み方についてお話したいと思います。ありがとうございました。