Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

今回は、「女性の体にまつわる病気」について、解説します。

1.子宮頸がん

子宮がんは「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2つに分けられます。性器から出血があった場合、更年期や月経不順だと安易に思い込んでいませんか?その出血は子宮頸がんや子宮体がんの可能性もあるんです。

まず、子宮頸がんとは、図で黄色に示した子宮頚部にできます。

希咲クリニックでは、最近の3年間で子宮頸がんの患者さんを15名以上見つけました。そのうち3名は10代後半でした。子宮頸がんは10~30代の若い層に増えています。

子宮頸がんは、女性特有のがんとしては乳がんに次いで罹患率が高く、特に20~30代のがんではワースト1位となっています。子宮頸がんの原因は、性交渉を通じて感染される高リスクな「ヒトパピロマウイルス(HPV)」が原因で起こるものと知られています。高リスク型のHPVに感染すると、その一部ががん細胞に進行することがあります。

多くの場合、人間の免疫力によってウイルスは体から自然に排除されます。しかし、この機能がうまく働かない場合、ウイルスが子宮頚部に残りその部分の細胞ががん細胞へと進行していくことがあるのです。

こうした細胞は異形成(前癌病変)と呼ばれ、自覚症状がないことが多いので、要注意です。異形成を気づかずに放っておくと癌になります。(浸潤癌)

でも安心してください。早期発見の場合、異形成、上皮内がんは根治できることがほとんどです。

治療法として、軽度・中度異形成の際に行われる「レーザー焼灼術」があります。子宮頚部の一部をレーザーで焼く方法です。

高度異形成・上皮内がんの治療の際に行う「子宮頚部円錐切除術」は子宮頚部を円錐型に切除する方法です。これらの治療は、その後の妊娠・出産が可能です。しかし、浸潤癌にまでなってしまうと子宮を摘出しなくてはなりません。そうならないように、早めの検査・検診をしましょう。子宮頸がんの検査方法は、市民検診の子宮がん検診と同じで、子宮の入り口を綿棒でこすって細胞をとるだけなので、とても簡単です。月経終了後、出血のない日に検査を受けることをおすすめします。

2.子宮体がん

子宮体がんとは子宮内膜の細胞が、がん化して起こります。子宮体がんは、経膣超音波で見ることができるので、検査が簡単で大きな痛みはありません。もし経膣超音波で何かがみつかったら、さらに詳しい検査をします。

子宮体がんの検査方法は、子宮体部細胞診といって、子宮内部まで細いブラシを入れて、細胞を擦り取ります。少し痛みがありますが、すぐに終わるので大丈夫です。

子宮体がんになりやすい人の特徴は、「肥満」「未経産」「高血圧」「糖尿病」「子宮内膜増殖症」の方です。特に、40代後半から60代の方が要注意です。不性器出血や閉経後の出血はありませんか?これらは、更年期の月経不順と勘違いされやすいので、注意しましょう。

子宮体がんには、「子宮全摘術」「両側付属器摘出術」「リンパ節郭清」「化学療法」と様々な治療法があります。怖がらないで、いつでも検診・検査を!いつでもご相談下さい。