Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

今回は、会社役員である山本正人さんと「血管腫」について、解説します。

血管腫とは

今日のテーマは何でしょう?

僕の顔のあざが「血管腫」という病気なんですが、これが自分の子供に遺伝するのか?ということを先生に聞きたいです。

血管腫はよく見ますね。赤ちゃんを取り上げたときにあざがある子もいます。馴染みがあるのが、「イチゴ血管腫」です。イチゴのように、ピンク色のアザが見られますが、これは経過観察で自然に消えていくことが多いです。

血管腫は大きく分けて2つあって、1つ目は細胞が勝手に増えていくタイプと、2つ目は血管が奇形するタイプです。

①乳児性(イチゴ)血管腫・・・血管が増殖して起こる。自然治癒することが多い。

②単純性血管腫・・・血管の奇形が原因。自然治癒は期待できない。

レーザー治療される方もいますが、山ちゃんはどうだったんですか?小さいころからあるんですか?

はい。

生まれつきついてますね。僕は、レーザー治療を高校1年生までしていました。でも高校1年生でやめました。

なぜですか?

高校1年生の時に、僕の友人に合コンに誘われたんです。でも僕ははじめ断りました。アザがあるのに、その場に行くと女性に気をつかわせてしまうんではないかと思ったんです。でも、その友人が「山ちゃんはアザがあっても、かっこいいよ」と言ってくれたんですね。なので勇気だして行かなあかんなと思って行きました。その結果、その合コンで一番人気になれたんです。

そこからアザを気にせず、生きていこうと思うようになりました。そこできっぱりレーザー治療をやめました。

あえてやめたんですね。素晴らしいね。

社会人になってからは、特にこのアザが活躍しています。高校1年生まではコンプレックスだったんですが、今は僕の「個性」とはっきり言えます。

その個性を生かして何か良いことはありましたか?

たくさんあります!

社会人になった時、リーマンショックになったんです。僕は営業マンだったので、仕事がなくなりました。他の営業マンと差別化しないと、見積もりすらも見てもらえない。そんな状況でした。そこで、このアザが目立ったんです。後日電話連絡した際なども、「山本くんって、あのアザの子か」と覚えていてくれるんですよ。こんなに得なことはないですよ。普通にしていても、勝手に特徴がついてくる。

もう神様からのプレゼントですね。

そうですね。

よく神様は乗り越えられる壁しか与えないといいますが、本当にその通りです。

いい話ですね。

血管腫があって、他にも辛い思いをしている人がいると思うんですよ。そんな方に、今日の山ちゃんの話をぜひ聞いてほしいですね。

僕の幼稚園の時なんですが、うちの両親も初対面の人にどうしても僕のアザを隠そうとしていたそうです。でもそこで、通っていた幼稚園の園長先生が、「隠すな。大きくなって独り立ちするときに、隠していると堂々としていられない。だから小さいうちから、どんどん外へ出してあげなさい」とアドバイスをくれたんです。そこからうちの父親も、どんどん外へ連れ出してくれました。指をさされることもありましたが、今となってはそれがメンタルを強くしてくれました。なので、人生において大きなきっかけでしたね。

今日は、山ちゃんがアザを一つの例として挙げてくれましたが、視聴者の中には何かしらの「コンプレックス」を持っている人がいると思うんです。僕もマレーシアから日本へ来た時、日本語も喋れないし指をさされたこともありました。弱点を乗り越えるというより、逆に武器にもっていくということですね。「コンプレックス」を「個性」ととらえるところが素敵です。

遺伝についての話はまた次回。本日はありがとうございました。