Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

ホームケア専門エステティシャンLilyさんと「妊娠中の足のむくみ」についてお話します。

むくみの原因

今回のテーマは「妊娠中、足の血管が浮かび上がる」についてです。

むくみもそうですが、妊娠中だからこそある体の変化なんですかね?

そうですね。

まず妊娠すると、血液量は増えると思いますか?減ると思いますか?

ええ~、増える気がします。

そうなんです。実は増えるんです。でもここで疑問があるんです。妊娠中って貧血になりますよね?血液が増えるのになぜ?ってなりません?

そうですよね。

実は血液量は増えるんですが、水っぽい水分が増えるんです。血液には、赤血球・白血球・タンパク質など、さまざまなものが含まれていますが、妊娠時は水分が増えます。なので、血液が薄くなってしまうんですよ。

なるほど。

血液濃度が薄まるんですね。

そうなんです。

貧血っていうのは、血液の量が少ないというより、血の濃さが薄くなるんです。

足りていないってことじゃないんですね。

足りないのも可能性の一つです。

でも逆に水分が増えていても薄いと貧血になるんです。実は妊娠すると血液量は1.5倍に増えます。

そして今日のテーマである、血管が浮かびやすいのは「静脈」です。血管には2種類ありますよね。一つは「動脈」といって、心臓から送り出される血管です。もう一つは「静脈」で、心臓へ戻る血管です。動脈は心臓から送り出されるので勢いがあって流れやすいです。しかし、静脈は心臓のようにポンプの勢いがないので、流れにくいんです。特に足の静脈は心臓から遠いのでさらに流れにくくなっています。普段は運動などの筋肉の収縮で血液を戻してきますが、妊娠すると血液量が増えます。すると、足の静脈は停滞しやすく、むくみやすくなってしまいます。

もう一つは、妊娠すると子宮が大きくなりますよね。すると、下半身の静脈を圧迫させます。だから下半身に水分が溜まりやすくなってしまうんです。だから、むくんでしまったり、血管が浮かんできてしまったりします。

じゃあ、血管が浮かびあがるということは、血管の中に血液が溜まっているっていうイメージですか?

そうですね。

あと気をつけてほしいのが、血管が浮かんでくるだけじゃなくて、赤くなっていたり、腫れていたり、痛みを伴う場合は必ず病院に行ってください。もしかすると、「血栓症」の可能性があるかもしれません。もし肺などに血栓がいくと大変危険です。このような症状がある場合、必ず病院を受診するようにしてください。

本日は以上です。

ありがとうございました。