Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

イベントMC/歌手/タレント/と多方面で活躍する優希菜さんと「産婦人科医」についてお話します。

産婦人科医として

今回は、「産婦人科医になってよかったこと」について、お聞きしたいと思います。

そうですね。

たくさんありますが、強いて挙げると2つあります。

1つは、3人目の娘が生まれたんですが、僕が取り上げました。

ご自身で!すごーい!

嬉しかったですね。

今まで、何千人と取り上げてきましたが、自分の子供を取り上げられたのはうれしかったですね。

あともう一つ良かったことは、人生って疲れる時や落ち込むこと、ありますよね。でも、その時に新しい命の誕生に立ち会うと、パワーをもらえるんですよね。自分ももっと頑張ろうって思えるんです。

日々、パワーをもらっているんですね。

逆に、産婦人科医になって辛かったことはありますか?

今回、「辞めたいと思ったことはありますか?理想と現実で違ったことはありますか?」という2つの質問がきています。

まあ、どんな職業でも理想を描いて入ったが、辛いと思うことはたくさんあると思うんです。

産婦人科では、妊婦さんが無事に出産できる時はいいですが、容体が急変した時は辛いですよね。2年前の妊婦さんなんですが、きばっている時に痙攣が始まって、意識が遠のいて、呼吸も止まったんですよ。泡をふいて、心肺停止してしまったんです。他の科の先生もすぐに来て、赤ちゃんをすぐに出して、心肺蘇生を行いました。その方は、無事に回復されました。もし旦那さんが立ち合いしていなかったら、元気な妊婦さんが急に心肺停止したら、何か医療ミスがあったんではないか?と思ってしまいますよね。

だから、それが産婦人科の辛いことですよね。

あともう一つは、生まれる前にモニターで赤ちゃんの様子を診た時に、赤ちゃんの心臓の音がだんだん遅くなっていく時、とても辛いですよね。原因がその場で、分からないこともありますし、緊急で帝王切開しないといけない場合もあります。患者さんにまず説明しないといけないし、手術場の準備もしないといけません。応援の先生も呼ばないといけないから、一刻を争います。でも、赤ちゃんは待ってくれません。その間も苦しんでいるんです。

だから、緊急で手術になった時の準備がとても辛いですね。

分かってはいるけど、何もしてあげれないってことですね。

本当に緊急の時は、先に手術をして、そのあとに説明させてくださいっていう時もあります。

やっぱり妊娠出産は、すごくハッピーなことですけど、必ずしもハッピーで終われないときがあるんですね。

そうなんです。

でも実は日本の妊婦さんの死亡率は世界と比べ、一番低いんです。だから、日本はお産が一番安全なんですよ。

そうなんですか。知らなかったです。

世界では、元気な赤ちゃんが産まれるのは当たり前ではないんですね。

最後にもう一つ、辛いことは肉体的に辛いことですね。長時間労働なんですよね。赤ちゃんはいつ産まれるか分からないので、24時間誰か待機していないといけないんです。産婦人科医の少ない病院だったら、当直した次の日も家に帰れないこともあります。それが辛かったことですよね。

なるほど。

理想と現実の違いという面ではどうですか?

それは案外、大丈夫でした。産婦人科医はしんどいものだと思っていましたからね(笑)

逆はありますね。思ったより、やりがいがあり、やって良かったなと思います。それも、みんなのおかげです。助産師さん、看護師さん、そして小児科専門の先生がいてくれるおかげで、緊急の時も対応できます。この環境があって初めて、産婦人科として頑張れたと思います。

じゃあ辛かったこともたくさんあるけど、たくさんの人の繋がりで、やりがいのある仕事ができているんですね。

今日はありがとうございました。