Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業
「妊娠中の旅行」について、Dr.ネルソン先生が解説します。
妊娠中の旅行
今回は、よく妊婦さんから聞かれる質問の一つ「新婚旅行に行ってもいいんですか?」という質問にお答えします。
飛行機に乗っていいのかな?新幹線は大丈夫かな?って心配される方が多いんです。新婚旅行がどれほど大事なのかは、個人によって違います。旅行にもし行くのなら、どういうところに気をつけなければいけないのかをお話します。
まず、飛行機に乗った時の気圧や圧力などは、胎児に影響を及ぼすほどではありません。
僕が妊婦さんによく言うのは、妊婦さんのトラブルは急に起こるということです。たとえ旅行へ行ってなくても、激しい運動をしていなくても、毎日安静にしていても、流産するときは流産しますし、出血する時は出血します。でも、それが旅行中だったら、旅行さえ行かなければ・・・と思ってしまいますよね。まずそこが大切です。何かあっても、自分や家族がちゃんと受け入れられるか、それが大事です。何かのせいにしてしまう性格ならば、新婚旅行に行かない方がいいです。
あともう一つは、妊娠初期の流産についてです。流産はほとんどが赤ちゃん自身の問題です。おかあさんが飛行機乗ったからとか旅行に行ったからとかいって、流産するわけではありません。なので、受け入れられるかどうかきちんと考えてから、旅行に行ってください。でないと、一生悔いが残ってしまいますよね。流産を、運が悪かったと受け入れらる方は旅行に行ってもいいです。
旅行の時期
日本では、妊娠22週以降から赤ちゃんが助かる確率が高くなります。なので、22週以降は法律上、一つの命として認められます。何が言いたいかというと、赤ちゃんが22週より前に出てきてしまうと、日本では助かりません。また、赤ちゃんを助けるための医療行為もできないんです。なので、流産と言われます。妊娠22週より後、37週より早く産まれた場合は、早産と呼ばれます。
なので、新婚旅行に行くなら妊娠22週より前に行った方がいいです。万が一何かあっても、日本では何もすることができないんからです。でも、22週以降で赤ちゃんが出てきてしまった場合、日本の適切な病院に行けば助かる可能性はあるんです。
でも、その時に海外の後進国に行ってしまうと、本来助かるはずの赤ちゃんが助からないことも出てきます。なので、海外旅行の場合、22週以降は避けた方がいいですね。
エコノミークラス症候群
もう一つ、長時間狹い空間にじっとしていることはやめてください。なぜかというと、エコノミークラス症候群を避けてほしいからです。下半身の静脈の血流が悪くなり、血の塊ができ、肺の血管を詰まらせるんです。最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。そもそも妊娠すると、血の塊や血栓ができやすくなるんです。赤ちゃんを産む時に血がたくさん出るので、自然と血を固まりやすくしてくれるんです。なので、妊婦は病気にかかるリスクが高いんです。
最後に、万が一のことを必ず考えておいてください。急に出血した、急にお腹が痛くなってきた場合、滞在先の周辺の病院を事前に探しておいてください。そうすると安心です。
以上です。また次回に、ありがとうございました。