Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

今回は、「 性病」について、ネルソン先生が詳しく解説します。

性病の落とし穴

まず、性病とは性行為でうつる病気です。まず、みなさんが陥る性病の落とし穴についてです。

1つ目は、パートナーが一人だから安心してはいけないということです。そのパートナーは、前の相手から性病をもらっているかもしれないからです。

2つ目は、症状がないことが多いことです。

女性の場合、症状がないこともあるので、定期検査に行くことをおすすめします。妊婦検診の始めにいくつかの検査をしますが、その時に初めて性病が発覚することもあるんですよ。

性病の種類と特徴

性病にはいろいろな種類があります。

①クラミジア②淋菌は、口と子宮頸菅炎の二つのタイプがあります。コンドームをつけているからと安心してはいけません。性行為の中で、挿入前に口で相手のペニスを舐めることもありますよね。その時に、口に菌が入ってしまいます。菌が肺にいくと肺炎になってしまうこともあるので、注意が必要です。

逆に言うと、相手の口から自分の膣に菌が入ってくることもあります。なので、コンドームをつけているからといって安心できないのです。

③尖圭コンジローマは、とがったいぼができます。ナプキンのかぶれかなと、勘違いしがちですが、いぼができたらすぐに病院で見てもらってください。

④梅毒はピンクの湿疹ができます。厄介なのは、一度症状が出ても、症状がおさまるということです。何年後かに、症状が出た時には神経や血管がやられてしまいます。この病気は、採血をしないと分かりません。最近、梅毒の患者さんは増えてきています。

⑤AIDSは、現在は意外と少ないです。梅毒の患者さんの方が多いです。しかし、AIDSの怖いところは、免疫細胞をダメにするところです。免疫がないと、菌を退治してくれないので、肺炎になったり、重症の病気になったりします。ただ安易に怖がらなくても、現在は発症を遅らせる薬もありますので大丈夫です。

⑥肝炎といえば、食べ物や輸血が原因だと思われるかもしれません。でも、肝炎を持っている人は、性行為でうつる場合があります。

⑦トリコモナスは原虫とも呼ばれ、おりものが増え、かゆみも伴います。

⑧HPVはヒトパピローナウイルスの略です。このウイルスは100種類程あります。そのうちの何種類かが、尖圭コンジローマを発症し、何種類かが子宮頸がんを発症します。若いうちは、がんは関係ないと思う人はいるかもしれませんが、子宮頚がんの可能性があります。ぼくの一番若い、子宮頸がんの患者さんは18歳です。

⑨性器ヘルペスは、膣の周りに水疱(水ぶくれ)ができます。おしっこをするときにしみるため、膀胱炎と勘違いする方もいます。

⑩毛ジラミは、とてもかゆいです。ショーツにぷつぷつしたものがつくこともありますが、それはシラミの卵です。

性病は繰り返すと、炎症を起こし癒着することで、妊娠しにくくなることもあります。なので、性病を他人事だと思わないでください。

以上です。ありがとうございました。