Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業

助産師として、フリーで性教育の啓発活動を行うまゆさんと「日本の性教育の疑問」についてお話します。

日本の性教育

僕がまゆさんのことをすごいと思うのは、性教育をどんどん発信しているところです。東洋人は、性教育や性的なものをタブーとしているところがありますよね。

そうですね。怖いことを教えて抑制させるという教育も多いですよね。

私自身、思春期の頃、性について相談できる人がいなかったんですよね。そういう経験がずっと心の中に残っていて、助産師の勉強をしながら、相談相手になりたいなと考えていました。

おそらくYouTubeをご覧になっている方も、10代、20代の方が多いと思います。なにかあったら、検索して調べることが多いと思うんです。ネットもいい手段の一つですが、情報がすべて正しいとは限らないですからね。

なので、助産師として正しい医学の知識をもとに、悩みを解決してあげたいという思いで、性教育を行っています。

日本の性教育については、どう思われますか?

日本の性教育は、めちゃくちゃ遅れてます!

日本の女性は、いくつぐらいで性教育を受けますか?

日本では大抵、第二次性徴(小学校4年生)ぐらいに、女の子だけ教室に集められて、生理の話を行うのがスタンダードです。

私もいろんな方に、どんな性教育を受けましたか?って聞くんですが、40代、30代、20代ともに同じような教育を受けてきたようです。修学旅行や林間学校のお泊りの前に、話を行う学校もあるみたいですね。

その性教育では、どんな話をするんですか?

これくらいの女の子には生理が来ますよ。とか、なぜ生理がおこるのか。などですね。あとは、実際に生理がきたらどうしたらいいのかや、ナプキンの使い方などですね。

生理学的・医学的アプローチの性教育ですね。

例えば、男性と女性がそういう行為を行ったら、妊娠する可能性がありますよ。などの話はしないんですか?

そういう話は学校では、ダメなんです。

逆に好奇心をあおってしまうんですね。

「寝た子を起こすな」っていう考え方ですね。うちの子はまだ知らないんだから、教えないでって保護者の方もいらっしゃいますね。

まゆさんは、もう少し早く、もう一歩踏み込んで話してはいいのではないか?と考えていますか?

そうですね。でも、なかなか踏み込めない現状もあります。

日本の教育は、学習指導要領に沿って教科書や授業の構成がされています。そこに明記されているのが、受精・妊娠までを取り扱うものとし、妊娠の経過を取り扱わない。となっています。なので、日本の学校での性教育は、いきなり精子と卵子が現れて、受精して妊娠して終わり。というところしか教えられません。なぜ精子と卵子が出会うのかということが言えないので、避妊や性感染症予防についても言えません。

僕も、産婦人科医をしていますので、他人事ではありません。昨年も今年も、14歳・15歳で妊娠して困って受診される方もいました。そういう時に、もっと早く教えてあげられればよかったと痛感します。

マレーシアの性教育はどうだったんですか?

マレーシアはもっと遅れていると思いますよ。マレーシアには、たくさん宗教がありますが、一番多いのがイスラム教です。イスラム教は保守的な宗教です。女性は、目以外を布で包んで、自分の体を異性に見せてはいけない。などのルールがあります。

僕は、別の宗教で学校にも、イスラム教の子はいなかったと思うんですが、それでも女の子だけ別に性教育があったのは、中学校3年生ぐらいだったと思います。女性は将来料理ができないといけないと言われ、名目として「料理の勉強を教えてもらう」ために、別の部屋に呼ばれていました。

ちなみに、その時男の子には何か指導はあったんですか?

一切なかったですね。

むしろ、日本と違って、ヌード写真や性的な表現の本・雑誌・動画などは持っているだけで違法なぐらい保守的な環境なので、触れるチャンスがないですね。

日本で問題なのは、教育では何も教えてくれないのに、ビデオや雑誌・ネットで性的な表現が蔓延していることです。

そうですよね。ぼくの時代は、ネットもないし見る媒体がなかったので、マレーシアでは盲目の状態ですよね。

実際に、どう踏み込めばいいのか、ぜひまたシェアしてくださいね。次回、楽しみにしています。