Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業
和(なごみ)クリニック院長、精神科医である 徳山まどか先生と、「認知症の原因と対策」についてお話します。
認知症の原因
前回は、認知症の症状について教えていただきました。視聴者からの質問にもあったのですが、なぜ認知症になるか医学的に分かっているんですか?
それがですね、これが原因というのがはっきりと分かっていないんです。ただ一つ確実なことは、認知症は「脳の老化」が原因だということです。なので、歳をとれば誰でもなれます。
日本の2013年の厚生労働省のデータで、5歳刻みで有病率が倍増していくということが分かっています。例えば、60代後半だと2.9%ぐらいなのが、70代前半になると4%台、70代後半になると13.6%、80代だと4割、90代前半だと6割となります。だから、90代になると認知症ではない方がマイノリティになるんです。
認知症への対策
長生きすれば避けては通れない道なんですね。もう他人事ではないですね。
では、認知症にならないためにできることはないんですか?
そうですね。
老化を止める薬もまだないし、体の老化と脳の老化が同時に進んでいけばいいんですが、脳の老化だけ先走ってしまうと辛いので、進行を遅くする薬はあります。
その予防については、ランセット(医学雑誌)で認知症の原因と予防について論文が発表されていて、認知症の35%は予防できますと書かれています。逆に言うと、65%は何をやってもダメなんですね。
そのランセットの発表によると、まずは子供の頃の教育ですよね。あとは、中年期。中年期になると、難聴、高血圧、肥満、この辺りがリスクになってきます。そして、高齢期になると、たばこ、糖尿病、運動不足、社会的な交流の乏しさなどがリスクになると言われています。そこを自分で努力して予防していけば35%の確率で予防できますとデータが出ています。
1つ気になるのは、「教育」っておっしゃってましたよね?それってどういうことですか?学歴が関係するんですか?
教育年数と認知症の関係は、残念ながらデータが揃っていて、教育年数が長い方が認知症になりにくいんです。知的活動をずっと続けている方の方がなりにくいというデータがあります。
認知症のリスクは案外、生活習慣が関係しているんですね。高血圧や糖尿病・タバコ以外で何か関係する病気はありますか?
そうですね。
最近、話題になって有名なのが「アミロイドβ」って聞いたことありますか?脳にタンパク質のゴミみたいものが、だんだん老化とともに溜まってくるんです。それは、50代ぐらいから全員が溜まっていくものです。この「アミロイドβ」がある一定の量、溜まったらアルツハイマー病を発症します。
アルツハイマーによっても認知症を引き起こすんですね。
アルツハイマーについては、最近よくニュースなどでも聞きますよね。次回は、ぜひアルツハイマー病について教えてください。本日はありがとうございました。