エステティシャンであり、セラピストの川口彩香さんと、「せん妄」についてお話します。

せん妄って?

今日のテーマは、実際にあったニュースについてです。

手術直後に乳腺外科医の男性が、女性患者の胸を舐めたなどとして、準強制わいせつ罪で逮捕・起訴された。地裁は、「麻酔の影響で幻覚を体験した可能性がある」として、この男性医師を無罪とする判決を言い渡した。原告は判決を不服として、控訴しており、2019年10月現在、決着はついていない。

裁判では、「せん妄」ではないかということでしたよね。そこで、せん妄って何?っていうところですよね。

せん妄っていうのは、意識レベルが下がっている時をいいます。現実に起こっていないことを体験したように感じることです。例えば、熱いコップがあるとします。もし、これに彩香さんが触れたらどうなります?

「熱!」ってなります。

普通はそうですよね。

でも、熱いけど1,000万円もするコップだったらどうします?

我慢しちゃいますね。

そうなんですよね。

つまり、熱いものを触れば、反射で思わず手を引いてしまいますが、それが高価なものだと知ると意識的に手を引かずに我慢し、体をコントロールしているんです。しかし、意識が低下しているとその判断ができなくなります。せん妄は、意識が低下している時に起こりやすいんです。

特に手術などでは麻酔がかけられているので、神経がブロックされた状態です。この事件は、手術後だったので意識が低下した状態で、勘違いしたのでは?と判決が下ったんです。

実際、医療現場では、特に僕なんかは産婦人科医なので、女性の敏感な部分を拝見させていただいて、病気があるかどうかを診ています。

そうですよね。

先生は疑いをかけられたりはあるんですか?

うちのクリニックでは、2つのことを徹底するようにしています。

1つは、内診など女性の体に触れる時は一人で診察を行いません。必ず、看護師さんがついて内診するようにしています。もう一つは、診察時、必ず声をかけて進めるようにしています。毎回、「触りますよ」「機械が入ります」などと声をかけます。だから、いきなり触られた。ということはないです。産婦人科なので、その辺りは徹底的に行っています。システムとして、お互いを守るような工夫をしています。

受ける側も安心できますね。

医療現場も色々と工夫が必要な時代かなと思います。

なるほど。

今日はありがとうございました。