Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業
助産師として、フリーで性教育の啓発活動を行うまゆさんと「幼児期の性教育」についてお話します。
性教育のタイミングとは
性教育というのは、いつごろから始めるのがいいんですか?
私としては、3歳からと言っています。
3歳からですか?!
うちも、2歳の娘と4歳の息子と一緒にお風呂に入る時、「私にはないものが、にーにはついてるよ。何これ?」って質問されるので、「おちんちんだよ」って答えます。このように、きっかけがあれば話をしやすいですが、どのような話をすればいいんですか?
まさに、きっかけが多いっていうのが3歳以降の幼児期になるんですね。なぜきっかけが多いかというと、5歳までの85%が赤ちゃんのことを聞いてくるというデータがあります。
赤ちゃんどうやって出てきたの? とかですか?
そうですね。
状況的に自分やお友達に妹や弟ができる時期だと思います。また、妊婦のお母さんがお迎えに行くと、子供たちに注目されます。このように、幼児期のお子さんは、どうしたら赤ちゃんができるんだろうと疑問を持ちやすいのです。それが、会話のきっかけになりやすいです。
その時に、「困ったな」ではなく、「チャンスだ」と思うようにしないといけないんですね。
このきっかけをチャンスに生かすのが、幼児期の性教育だと思います。子供が大きくなって、かしこまって話そうとする人が多いですが、思春期に入った子供からすると、親からそんな話聞きたくないですよね。
親としても、子供が「いや、いいし」「いらないよ」って反応をされるのも、落ち込みますよね。
なので、子供から興味津々の時期に話してあげたほうが、親としても話しやすいです。
具体的な3つのポイント
例えば、3,4歳の子供にはどこまで何を話しますか?
あんまり明確なものはないんです。
私としては、子供に話すポイントを3つ挙げたいです。
①子供からの質問を受け入れる
すぐ答えようとは思わずに、動揺も表情に出さないようにして「いいこと聞いたね!そんなことに気づいたの?すごいね!」とまずは質問を受け入れてあげてください。
一番やってはいけないのは、「そんなこと聞かないの」と怒ることです。子供は、質問の答えの内容よりも親の反応を見ているからです。焦ったり、怒ったりするとそこから質問してくれなくなります。
②嘘をつかず、質問にのみ答える
よくあるのは「どうやって生まれたの?」の質問に「橋の下で拾ってきた」や「コウノトリが運んできた」などの話をする方が多いです。嘘をつくと、そこから話が進まなくなるので、もし嘘をついてしまったとしても、後から訂正することが大事です。
あとは、質問にのみ答えるというのがポイントです。
例えば「赤ちゃんはどうやって生まれたの?」という質問の返答に困ったら、オウム返しをしてみましょう。「どうしてそう思ったの?」と聞いてあげると、友達に弟や妹ができたから自分もほしいや、友達との会話の中で、赤ちゃんがどこから生まれてくるかの答えが食い違うことで混乱してしまったなど、子供が質問に至るまでの背景が分かります。質問の中身が明確になることで、答え方もピンポイントで答えてあげられます。
じゃあ、「どこから出てきたの?」って聞かれたら、なんて答えるべきですか?お腹から出てきたよって言うのか、膣っていうところがあって、そこから出てきたよって言うんですか?
膣ということは教えていいと思います。
例えば、息子さんだったら、「おしっことうんちが出てくる場所があるでしょ?女の子も同じ場所があるんだけど、もう一つ赤ちゃんが出てくる場所があるんだよ。」って教えてあげます。なので、嘘をつく必要はありません。
とても分かりやすいですね。
伝え方を難しく考えてしまうのは、大人の悪い癖ですね!
簡単に一問一答で大丈夫ですよ。
幼児期なら、自分でトイレに行けるので、理解はできると思います。なので、事実をあくまでも科学的に伝えることが大切ですね。
同時に、帝王切開のことも教えていいと思います。赤ちゃんの通り道はあるけど、なにかの原因で出てこられない場合、お腹を切って出してあげることもあるよ。と話します。
ちなみに、最後の3つめは
③気合はいらない
幼児期の性教育は、日常会話から発展していくものなので、変な反応さえしなければ、子供は何回でも聞いてくれます。子供にとっては、性に関する話題も日常会話の一つなので、親との会話が楽しければ何度も話題にあがってきます。
子供は、重みの違いを感じてわざと聞いているわけではなく、受け取る大人が勝手に、重さを感じているだけですね。
子供が理解できるようになってから、話すのではなく子供の理解度に合わせて徐々に詳しく話していくことが大切です。
今まで、性教育を少し重く感じていましたが、今日お話を聞かせていただき、心が軽くなりました。そして、気軽に話せるような気持ちになりました。
本日もありがとうございました。