Dr.ネルソンの「医学&タメになる」授業
今回は、「夜の仕事時代の経験」について、ネルソン先生がお話します。
夜の仕事の経験
今日お話ししたいのは、「夜の仕事」のお話です。産婦人科医が夜の仕事の話って、「え?」って思いますよね。
実は、僕は夜の水商売の仕事をしたことがあるんです。北海道大学の薬学部に通っていたんですが、外国人で日本語をうまく話せなかったので、アルバイトでなかなか雇ってもらえませんでした。そんな時、すすきののボーイズバーでアルバイト募集の張り紙を見つけました。そして、魅力があったのは「日払い」と書いてあったことです。すぐに、雇ってもらえるように頼みに行きました。外国人か~と言われましたが、雇ってもらうことができました。
大変失礼な話ですが、僕は仕事を始めるまでは夜の仕事に偏見を持っていました。水商売で、男女の関係などがややこしいんでは?など良いイメージはありませんでした。でも実際にやってみると、思った以上に大変な仕事でした。
お客さんに飲め飲めと言われると、飲めませんと断れないんです。飲んだ分が店の売り上げになりますからね。それまでは、僕お酒飲んだことないんですよ。だから、飲んだらトレイで吐いてまた笑顔で接客して、毎日その繰り返しでした。最初は辛かったですが、とても良い人生勉強になりました。
なぜかというと、来るお客さんが普段溜まったストレスのはけ口にしてくれるんですよ。だから、いろんな悩みや不安を語ってくれ、人の悩みを吸い上げていくのがうまくなったんです。そして何より日本語の勉強になりました。だから、今考えるとその水商売の経験が、とても自分のためになりました。
経験から得たもの
医療の現場で、ネルソン先生は話を聞くのが上手ですねってよく言われるんです。お医者さんは偉そうなイメージがあるじゃないですか。ネルソン先生はそうではないですねって言ってもらえます。それは、僕が水商売で学ばせてもらったことです。
もう一つおもしろいのが、客層が時間帯によって違ったりするんですよ。店のオープンする18時は、同業者がよく来ます。ホステスのお姉さんや風俗店のお姉さんが仕事の前に、一杯飲んでテンション上げていくわ!とよく来てくれました。そのあとは、案外主婦の方が多いです。同窓会などの一次会の後、二次会で来てくれました。そのあとは、OLさんが残業終わりに愚痴を言いに来てくれましたね。12時を過ぎると、水商売のお姉さんが仕事終わりに愚痴を言いに来てくれました。
伝えたいこと
何が言いたいかというと、昼間仕事している人からすると、夜の仕事をしている人に偏見を持っているかもしれません。逆にいうと、夜の仕事をしている人も、周りに差別されないかなと思うかもしれませんが、もっと胸をはっていいと思うんです。夜の仕事をしている人が、いろんな人の愚痴を聞いてあげてストレスを解消してあげてると思うんです。ただし、プロの意識を持たないといけないですよ。接客する以上、自分も相手に何か与えてあげると意識をもつことで、誇りをもっていいと思います。
以上、今回は「夜の仕事」についてのお話でした。